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パートタイム労働者のための法律知識
 

■採用から退職にいたるまでの法律実務

 パートタイムで働く場合でも、原則として通常の労働者と同じように労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、男女雇用機会均等法、最低賃金法などの労働関係法令が適用されます。 また、育児・介護休業法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法は、パートタイム労働者がその要件を満たしていれば適用されます

       

1.労働基準法

  1. 労働時間・休憩時間(所定労働時間・法定労働時間・時間外労働)
  2. 休日・休暇(特に年次有給休暇には注意)
  3. 賃金(割増賃金)
  4. 退職(解雇の事由も含む)
  5. 母性保護(産前産後休業、育児時間、生理休暇、危険有害業務の就業制限、時間外労働等の禁止)
  6. 就業規則

2.労働者災害補償保険法(業務上災害、通勤災害)

パートタイム労働者であっても労災保険による補償を受けることができます。

  1. 療養(補償)給付
  2. 休業(補償)給付
  3. 傷病(補償)給付
  4. 障害(補償)給付
  5. 遺族(補償)給付

※その他に、事業主の行う定期健康診断において脳・心臓疾患に関連する項目で異常の所見が見られた場合に支給する2次健康診断があります。

3.労働安全衛生法(健康診断)

常時使用する短時間労働者に対しても雇用時及び年1回の健康診断が義務付けられています。
※常時使用する短時間労働者とは、@Aいずれも満たす者

  1. 契約更新により1年以上使用されることが予定されている者
    及び契約更新により1年以上引き続き雇用されている者
  2. 通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間の3/4以上

4.男女雇用機会均等法(平成19年4月1日改正)

男女雇用機会均等法では募集・採用から定年・退職・解雇まで、雇用の場における男女双方に対する差別を禁止しています。

  1. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図る。(間接差別も禁止されます)
  2. 女性労働者の就業に関して妊娠及び出産後の健康の確保を図るなどの措置、
    及び妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの禁止
  3. セクシャルハラスメント対策

5.育児・介護休業法

一定範囲の有期労働契約の労働者も育児・介護休業の対象となります。
(但し、日々雇用される者、週所定労働日数が2日以下の労働者は除く)
育児・介護休業は労働者が事業主の申し出ることにより取得できるものです。

  1. 育児休業の場合
  2. 継続雇用1年以上の者、かつ、その子が1歳に達する日を超えて継続雇用されることが見込まれる者(1歳到達日から1年を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し、かつ、更新がないことが明らかの者を除く)
  3. 介護休業の場合
  4. 継続雇用1年以上の者、かつ、介護休業開始日から起算して93日を経過する日を超えて継続雇用が見込まれる者(93日を経過する日から1年を経過するまでの間に、労働契約期間が満了し、かつ、更新がないことが明らかの者を除く。)
  5. 子の看護休暇
  6. 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、負傷し、又は疾病にかかった子の世話を行うために、事業主への申し出により、当該年度において5日間を限度として看護休暇を取得することができるものとする。
  7. 勤務時間短縮等の措置、及び時間外・深夜業の制限
    事業主は、3歳に達するまでの子を養育する労働者のうち、育児休業を取得しないで働こうとする労働者に対して、労働時間の短縮など、働きながら子育てをしやすくするための措置を講じなければなりません。

6.最低賃金法

パートタイム労働者に対しても、最低賃金法に基づき定められた地域別・産業別の最低賃金が当然に適用になります。
最低賃金より低い金額でパートタイム労働者を使用することはできません。

※参考(平成19年10月19日より変更)

  • 東京都  739円
  • 埼玉県  702円
  • 千葉県  706円
  • 神奈川県 736円
  • 秋田県・沖縄県 618円
  • 佐賀県・宮崎県・長崎県・鹿児島県  619円

※厚生労働省が3月18日に発表した平成19年の賃金構造基本統計調査より

  • 男性の非正社員の平均賃金・・・22万4300円で0.7%増
  • 女性の非正社員の平均賃金・・・16万8800円で2.1%増
  • 男性のパートタイム労働者の時給・・・1085円で2.6%増
  • 女性のパートタイム労働者の時給・・・・962円で2.3%増

■パートタイム労働者の労働保険・社会保険

1.労働保険(雇用保険)

雇用保険の被保険者に該当するパートタイム労働者については、雇用保険法の定めるところにより 適用手続きをとることが必要です。
雇用形態に関係なく、次の2つの要件を満たす場合には雇用保険の被保険者になります。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
  2. 1年以上引き続き雇用されることが見込まれること。
    (65歳以上の方は、65歳前から引き続き同一の事業主に雇用されている方に限り、高年齢継続被保険者になります。65歳以降に新たに雇用された方は被保険者とはなりません。)

2.社会保険(健康保険・厚生年金保険)

適用事業所の従業員であれば、パートタイム労働者であっても一定の要件を満たせば被保険者になります。
パートタイム労働者については、次の2つの要件を満たす場合には被保険者になります。

  1. 1日又は1週間の所定労働時間が、その事業所で同種の業務を行う通常の労働者の所定労働時間の概ね4分の3以上であること。
  2. 1ヶ月の所定労働日数が、その事業所で同種の業務を行う通常の労働者の所定労働日数の概ね4分の3以上であること。

また、パートタイム労働者が健康保険・厚生年金保険の被保険者とならず、かつその配偶者が被保険者となっている場合、 原則としてパートタイム労働者の年収が130万円未満であれば、健康保険は被扶養者扱い、国民年金は第3号被保険者となります。 年収が130万円以上であれば、国民健康保険の被保険者、国民年金の第1号被保険者となります。

健康保険・厚生年金の適用(配偶者が社会保険に加入の場合)


所定労働時間 労働時間・労働日数が
正社員の3/4以上
労働時間・労働日数が正社員の3/4未満
年収 年収130万円未満
(60歳以上180万円未満)
年収130万円以上
(60歳以上180万円以上)

健康保険 会社の健康保険の
被保険者となる。
配偶者の健康保険の
被扶養者となる。
国民健康保険の
被保険者
保険料自己負担
厚生年金保険 厚生年金の被保険者
=国民年金の第2号被保険者
被扶養配偶者として
国民年金の
第3号被保険者(60歳まで)
国民年金の
第1号被保険者(60歳まで)
保険料自己負担

(参考)パートタイム労働者の年収と所得税・住民税の関係

パートタイム労働者の年収
本 人
配 偶 者
課税になるかどうか
控除が認められるかどうか
所得税
住民税
配偶者控除
配偶者特別控除
100万円以下
×
×
×
100万円超えて103万円未満
×
×
103万円
×
×
103万円超えて141万円未満
×
141万円以上
×
×

本人の所得税: 給与所得控除65万円+基礎控除38万円=年収103万円

配偶者控除: 所得税:38万円  住民税:33万円
配偶者特別控除: 所得税:38万円〜3万円  住民税:33万円〜3万円

(参考)各種保険料負担(平成20年4月1日現在)   単位は ○/1000

 
保険料合計
事業主負担
労働者負担
雇用保険
15
9
6
労働者災害補償保険
5
5
0
健康保険
82
41
41
介護保険
11.3
5.65
5.65
厚生年金保険
149.96
74.98
74.98

※労働者災害補償保険の保険料は、事業主が全額負担します。
※健康保険は、政府管掌健康保険の保険料です。
※政府管掌健康保険の介護保険第2号被保険者は、40歳以上65歳までが対象です。
※厚生年金保険の保険料は毎年9月から1000分の3.54ずつ引き上げられます。
※国民年金の保険料は毎年4月から280円ずつ引き上げられます。

■パートタイム労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)

少子高齢化がすすみ、労働力人口が減少していくなか、パートタイム労働者は平成18年には1,205万人と、雇用者全体の2割強を占め、わが国の経済活動の重要な役割を担っています。

パートタイム労働者の内訳をみると、約7割が女性ですが、若年者や高齢者を中心に男性のパートタイム労働者も増加するとともに、パートタイム労働者の役職者も現れ、その働きぶりは、近年特に多様化・基幹化しています。

しかしながら、一方で、仕事や責任、人事管理が正社員と同様なのに、賃金など待遇が働きに見合っていないパートタイム労働者の存在や、一度パートタイム労働者として就職すると、希望してもなかなか正社員になることが難しい、といった問題が存在し、パートタイム労働者の働く意欲を失わせてしまうような現象も起きています。

こうした問題を解消し、パートタイム労働者がその能力を一層有効に発揮することができる雇用環境を整備するため、パートタイム労働法が改正されることとなりました。パートタイム労働者の待遇を通常の労働者と均衡の取れた待遇とするための措置や通常の労働者への転換を推進するための措置を講ずることが事業主に求められることとなります。施行は平成20年4月1日はらです。

※「パートタイム労働者」とは
パートタイム労働法の対象である「短時間労働者(パートタイム労働者)」は、「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」たされています。 例えば、「パートタイマー」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」など、呼び方は異なっても、この条件に当てはまる労働者であれば、「パートタイム労働者」としてパートタイム労働法の対象になります。

改正パートタイム労働法の概要

(1)労働条件の文書交付・説明義務

  1. 一定の労働条件について明示することが義務化されます。
  2.   労働基準法では、パートタイム労働者も含めて、労働者を雇い入れる際には、以下の5つの項目で労働条件を明示することが事業主に義務付けられています。
    「労働契約の期間」
    「就業の場所、従事すべき業務内容」
    「始業・終業の時刻、所定時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換」
    「賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締め切り及び支払の時期」
    「退職(解雇の事由を含む」

    改正パートタイム労働法では、これらに加えて以下の3つの明示が義務化されます。
    「昇給の有無」
    「退職手当の有無」
    「賞与の有無」

  3. 待遇の決定に当たって考慮した事項について説明することが義務化されます。
  4.   雇い入れ後に、パートタイム労働者から求められた時、待遇を決定するに当たって考慮した事項を 説明することが義務化されます。

    ※説明が義務化される事項
    労働条件の明示、就業規則の作成手続き、待遇の差別的取り扱い、賃金の決定方法、教育制度、 福利厚生施設、正社員への転進を推進するための措置

(2)均衡の取れた待遇の確保の促進

パートタイム労働者は、繁忙期に一時的に働く方から正社員と同様の仕事に従事し長期間働く方までその働き方はさまざまです。 このため改正法では、パートタイム労働者の待遇を正社員との働き方の違いに応じて均衡(バランス)を図るための措置を講ずるよう規定しています。 具体的には以下の3つの要件が通常の労働者と同じかどうかにより、賃金、教育訓練、福利厚生などの待遇の取り扱いについて規定されています。

  1. 職務の内容(業務の内容と責任の程度)
  2. 人材活用の仕組みや運用など(人事異動の有無や範囲)
  3. 契約期間(実質的に無期契約となっているパートタイム労働者)

※期間を定めて労働契約を結んでいても、期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当であるとされる場合、とは最終的には裁判所において判断されることになりますが、これまでの裁判例をみてみると、以下の内容が判断材料となっています。

  1. 業務の客観的内容(恒常的な業務に従事しているのか、臨時的な業務に従事しているのか、通常の労働者の業務との違いはあるのか)
  2. 契約上の地位の性格(契約上の地位が臨時的か)
  3. 当事者の主観的態様(継続雇用を期待させる事業主の言動や認識があったか)
  4. 更新の手続・実態(反復更新の有無や回数、勤続年数、契約更新時の手続方法)
  5. 他の労働者の更新情況(同様の地位にある労働者の雇い止めの有無)

○差別取り扱いの禁止(改正法第8条)
事業主は職務の内容、退職までの長期的な人材活用の仕組みや運用などが通常の労働者と同一のパートタイム労働者であって、期間の定めのない労働契約を締結している者については、パートタイム労働者であることを理由として、その待遇について差別的に取り扱うことが禁止されます。

○賃金(基本給、賞与、役付手当等)の決定方法(改正法第9条)
(第1項)
事業主は、通常の労働者との均衡に考慮し、パートタイム労働者の職務の内容、意欲、能力、経験などを勘案して賃金を決定することが努力義務化されます。

(第2項)
事業主は通常の労働者と比較して、パートタイム労働者の職務の内容と一定期間の人材活用の仕組みや運用などが同じ場合、その期間について、賃金を通常の労働者と同一の方法で決定することが努力義務化されます。

○教育訓練(改正法第10条)
(第1項)
パートタイム労働者と通常の労働者の職務の内容が同じ場合、その職務を遂行するに当たって必要な知識や技術を身につけるために通常の労働者に実施している教育訓練については、パートタイム労働者が既に必要な能力を身につけている場合を除き、事業主はパートタイム労働者に対しても通常の労働者と同様に実施することが義務化されます。

(第2項)
上記以外の訓練、例えば、キャリアーアップのための訓練などについては、職務内容の違い如何にかかわらず、事業主はパートタイム労働者の職務の内容、成果、意欲、能力及び経験などに応じ実施することが努力義務化されます。

○福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)(改正法第11条)
「給食施設」「休憩室」「更衣室」について、事業主はパートタイム労働者に利用の機会を提供するよう配慮することが義務化されます。

(3)パートタイム労働者から通常の労働者への転換(改正法第12条)

事業主は、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じることが義務化されます。

  1. 正社員を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する。
  2. 正社員のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与える。
  3. パートタイム労働者が正社員へ転換するための試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。

(4)パートタイム労働者と事業主の苦情・紛争の解決の仕組み(改正法第19条)

事業主がパートタイム労働者から苦情の申し出を受けたときは、事業所内で自主的な解決を図ることが努力義務化されます。

    紛争解決援助の仕組みとして、(改正法第21,22条)
  1. 都道府県労働局長による助言、指導、勧告
  2. 均衡待遇調停会議による調停
  3. が設けられます。

※パートタイム労働者が都道府県労働局長による援助を求めたこと、調停の申請をしたことを理由として、解雇、配置転換、降格、昇給停止、出勤停止、雇用契約の打ち切りなど不利益な取り扱いをすることは禁止されます。


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